最寄り駅で、あなたはいつも同じ改札を出ます。
反対側の出口がどこにあるかは知っています。行ったことがないだけです。距離にして 200メートル、時間にして3分。そこが、10年通っても白いままになります。
これは意志の弱さの話ではありません。日本の駅は、構造的にそうなるようにできています。
なぜ片側だけが発展したのか
理由ははっきりしています。用地買収です。
鉄道を敷くとき、市街地のど真ん中に駅を作ると土地の取得費が跳ね上がります。だから駅は 市街地の端に置かれました。すると駅の片側にはもともと町があり、反対側には田畑が 広がっている、という状態から歴史が始まります。
あとは差が開く一方です。町のある側に駅前広場ができ、商店が並び、バスが乗り入れ、 投資がそちらに集まります。反対側は「裏」と呼ばれ、裏だから投資しても回収できるか わからず、だから投資されません。
東北新幹線沿線を見ると並んでいます。宇都宮は東口が後発、仙台は西口が先行、郡山は 西口に店舗が集中し、盛岡は東口が賑わっています。
新横浜が分かりやすい
新幹線が1964年に開業して、新横浜駅の周辺は都市化しました。ただし北側だけです。
北口は1975年に区画整理が完了し、町名も「新横浜」になって、ビルが立ち並ぶ横浜市の 副都心になりました。
一方の南口、篠原口です。記念誌には1968年の様子として、篠原口の周辺は整備計画が 遅れていて駅のすぐ近くにまだ田んぼが広がっていた、と記録されています。そして なぜ手つかずのまま残ったのかを明快に説明する資料は存在しません。
理由が残っていないというのが、この話のいちばん正直なところだと思います。片側が 選ばれ、もう片側が選ばれなかった。それだけが事実として残っています。
歩く側から見ると、これは好条件です
ここから反転します。
未知の場所を探すとき、普通は遠くへ行きます。遠くは未知ですが、行くのに時間が かかります。近くは行きやすいですが、たいてい知っています。
駅の裏側は、この二つの条件を同時に満たす珍しい場所です。未知でありながら、 すでに毎日立っている場所から200メートルしかありません。 しかも偶然ではなく、 構造的にそうなっているので、どの駅にもあります。
面積で見ます
歩くと、自分の周囲およそ30メートル幅、片側15メートルずつが明らかになります。
裏側を1キロ歩いた場合はこうです。
1,000 m × 30 m = 30,000 m² = 0.03 km²
そして、この0.03平方キロメートルは全部が新規です。表側を同じ1キロ歩いた場合、 新しく明らかになる面積はゼロです。すでに歩いた場所だからです。
同じ1キロ、同じ15分で、片方は0.03、もう片方は0。 距離を増やす話ではなく、 出る改札を変えるだけの話だというのは、ここのことです。
4つのやり方
- 帰りに、反対側の改札を出る。 行きは遅刻の可能性が出るので続きません。 帰りなら誰も待っていません。一駅歩くと同じ理屈です。
- 出口が多い駅ほど効きます。 3つ以上の出口がある駅では、たいてい1つしか 使っていません。使用頻度の低い順に試すと、駅ごとに2回か3回は新しい体験になります。
- 裏側に商店街を期待しない。 裏側は住宅地であることが多いです。目的地を 探しに行くと失望します。地形と道の形を見に行くと、ほぼ外れません。
- 乗換駅で一度だけ外に出る。 毎日通っているのに地上を見たことがない駅が、 たいていの人に1つか2つあります。そこは最も費用が安く、最も空白の大きい場所です。
地図で見ると形が出ます
歩数計にはこの差が出ません。歩数を数えるだけで、どこを歩いたかに関心がないからです。
霧の地図には、はっきり出ます。仕組みは戦略ゲームと同じで、地図は最初すべて 覆われていて、歩くと自分の周りの霧だけが晴れます。詳しくは 現実版の戦場の霧に書きました。
駅を中心にした形は、見ると笑ってしまうくらい典型的です。片側に扇形の明るい 範囲があり、線路を境に、反対側が真っ黒です。 境界線がまっすぐなら、それは 好みではなく線路です。Fogbreakerの領域 機能は、これを行政区画ごとのパーセントにします。
正直に書いておくこと
裏側が本当に何もない駅はあります。山、川、車両基地、高速道路。物理的に片側しか ない駅も珍しくありません。その場合は隣の駅で試してください。
それと、裏口側は夜になると人通りが少なく、街灯も少ない場所があります。最初は 明るいうちに行ったほうがいいです。夜歩く場合の話は 暗くなってから歩くにまとめてあります。
霧が晴れるのは屋外でGPSが動いているときだけです。FogbreakerはiOSとAndroidで 無料です。
駅の反対側は、旅行ではありません。改札を一つ変えるだけです。それで、10年分の 空白が3分で埋まりはじめます。
