一番近いコンビニは、たぶん3軒くらい言えると思います。
では、一番近い神社はどこですか。
数の話から
文化庁の宗教統計によると、日本の寺院は77,392、神社は8万を超えます。 合わせると16万以上です。
一方でコンビニは全国で約5万4千店です。
つまり神社と寺は、コンビニの3倍あります。名前を3つ言えるのはコンビニのほうで、 数が3倍あるほうは1つも出てこない。これはかなり不思議な状態です。
なぜ行かないのか
理由ははっきりしていて、用事がないからです。
コンビニには用事があります。だから行きます。近いから行くのではなく、用事が あるから行って、結果として近い店を覚えます。
神社には用事がありません。初詣と、たまたま近くを通ったときくらいです。だから 100メートル先にあっても、10年間一度も入らないという状況が普通に成立します。
近さは、それ自体では人を動かしません。近くて、用事があるときだけ動きます。 これは歩く目的地を探すときに、かなり重要な性質です。
目的地としての条件がそろっています
散歩の目的地に必要な条件を並べると、神社と寺はほぼ全部を満たします。
どこにでもある。 16万カ所なので、どの方角に歩いても何かしらあります。 方角を選べるというのは、目的地としてはかなり贅沢な条件です。
無料で、開いている。 営業時間も予約もありません。
着いたら終わりになる。 目的地があると、歩きに終点ができます。終点のない 散歩は途中でやめますが、終点があると最後まで行きます。
滞在時間が短い。 5分で済みます。往復30分の散歩の目的地としてちょうどよくて、 これが博物館やカフェとは違うところです。
地図の面積で見ると
歩くと、自分の周囲およそ30メートル幅、片側15メートルずつが明らかになります。
800メートル先の神社に行って、同じ道で帰った場合はこうです。
800 m × 30 m = 24,000 m² = 0.024 km²
行きと帰りが同じ道なら、帰りの800メートルは1平方メートルも増えません。 帰りを別の道にすれば、単純に倍になります。
そして、ここが小さい社を狙う理由です。有名な神社は大通りに面していますが、 住宅街の中の小さい社は路地の奥にあります。参道が路地なので、目的地に行くだけで 普段通らない道を通ることになります。目的地そのものより、そこへ至る道のほうが 面積としては大きい、というのがこの散歩の構造です。
4つのやり方
- 一番近いのに入ったことがない一社から。 地図で探すと、たいてい徒歩10分以内に 2つか3つあります。行ったことがある確率はかなり低いはずです。
- 目的地は固定、道は毎回変える。 同じ神社に20回行っても、道を変えれば 20回とも新しい面積になります。逆に道を固定すると、1回目で終わりです。
- 小さい社を優先する。 大きい神社は駅から行けます。小さい社は路地からしか 行けません。地図として価値があるのは後者です。
- 御朱印は目的にしないほうがいいです。 集めはじめると、御朱印を出している 大きい神社に行くことになります。それは観光であって、近所を歩く話とは逆方向です。
地図で見ると
歩数計にはこの違いが出ません。同じ歩数だからです。
霧の地図には出ます。仕組みは戦略ゲームと同じで、地図は最初すべて覆われていて、 歩くと自分の周りの霧だけが晴れます。詳しくは 現実版の戦場の霧に書きました。Fogbreakerの 領域機能が、これを行政区画ごとの パーセントにします。
正直に書いておくこと
神社と寺は観光地ではなく、宗教施設です。 参拝のための場所なので、 写真を撮りに行く場所として扱わないほうがいいです。立ち入りを制限している区画が あること、氏子や檀家が維持している小さい社は実質的に私的な管理下にあること、 この2点は歩く側が知っておくべきだと思います。静かに入って、静かに出る。
夜は避けてください。照明がなく、足元も悪いところが多いです。夜に歩く場合の話は 暗くなってから歩くにあります。
霧が晴れるのは屋外でGPSが動いているときだけです。路地は両側に建物があるので 測位が乱れやすく、これは機器側の限界です。FogbreakerはiOSとAndroidで無料です。
毎日通っているのに歩いたことがない場所という点では、 駅の反対側も同じ構造です。
