「30日ウォーキングチャレンジ」で検索すると、出てくる計画はだいたい同じ形をしています。1日2,000歩か10分ほどから始めて、週ごとに少しずつ増やしていく。最終週には5,000歩、あるいは30分。
数字は上がっていきます。でも歩く道は、たいてい初日からずっと同じです。家を出て、いつもの角を曲がり、いつもの公園を一周して帰ってくる。そして新鮮さがいちばん薄れる3週目に、計画のほうはいちばんきつくなります。
この記事の30日ウォーキングチャレンジは、その逆をやります。歩く長さは最初に一度決めたら変えません。そのかわり毎日の散歩に、まだ一度も歩いたことのない道を1本だけ入れます。30日で増えるのは歩数ではなく、自分が知っている街の範囲です。
よくある30日チャレンジが3週目で止まる理由
先に認めておくと、歩数を少しずつ増やす計画は、運動量を積み上げるという目的にはきちんと効きます。体力がついていかなくてやめてしまう人には、そちらが合っています。
ただ、30日間ウォーキングをやめる理由は、きついからとは限りません。飽きたから、というほうがずっと多いはずです。同じ道を、毎日少しだけ長く歩く。30日目の散歩は、1日目の散歩を引き延ばしたものでしかありません。
もうひとつ、30日という区切りそのものにも誤解があります。2010年にフィリッパ・ラリーらがEuropean Journal of Social Psychologyに発表した研究では、96人が毎日の行動をひとつ続け、それが自動的に感じられるようになるまでの期間を測りました。中央値は66日、個人差は18日から254日でした。つまり30日は習慣のゴールではなく、スタートです。大事なのは30日目に達成感で終わる計画ではなく、31日目にも外へ出たくなる計画のほうです。この研究については1日休むと連続記録が実際に何を失うのかで詳しく書いています。
ルールはひとつ:長さは同じ、道は新しく
まず、毎日歩く長さを決めます。WHOの2020年のガイドラインは、成人に週150〜300分の中強度の有酸素運動を勧めています。150分を7日で割ると約21.4分。つまり、少し速めに歩く22分ほどの散歩を毎日続ければ、WHOの最低ラインに届きます。
目安は20〜30分です。しばらく体を動かしていなかったなら、15分から始めて十分です。心臓の病気などの持病がある人や、長いあいだ運動していなかった人は、始める前に医師に相談してください。
決めた長さは、30日間変えません。慣れてきて増やしたくなっても増やさない。増やすのは道のほうです。
そして「新しい道」の定義はゆるくしておきます。まだ一度も歩いたことのない道、路地、階段、抜け道なら何でもかまいません。100メートルだけでも1本です。残りはいつもの道で大丈夫です。
4週間の計画
| 週 | 日 | テーマ | 例 |
|---|---|---|---|
| 1週目 | 1〜7日目 | いつもの道から一本ずれる | 一本裏の道、毎日前を通り過ぎている横道 |
| 2週目 | 8〜14日目 | 境界線を越える | 歩いて渡ったことのない大通り、線路、川、駅の反対側 |
| 3週目 | 15〜21日目 | 出発点を変える | 一駅か二駅先まで乗って違う道で帰る、職場や買い物先から歩いて帰る |
| 4週目 | 22〜29日目 | 穴を埋める | 生活圏の内側に残っている行き止まり、裏道、空白 |
| 30日目 | 1日目の道をもう一度歩く | 1日目のスクリーンショットと地図を見比べる |
1週目:一本ずれる。 最初の週は小さく始めます。いつもの道と平行に走っている一本裏の道、毎日横目で見ている路地。家から5分の範囲にも、歩いたことのない道は意外なほど残っています。探し方に迷ったら、近所で新しいウォーキングルートを見つける方法が使えます。
2週目:境界線を越える。 たいていの人の生活圏は、渡らない何かで区切られています。幹線道路、線路、川。そして駅です。毎日使っている駅の、いつもと反対側の出口から出てみてください。日本の駅は片側だけが発展しやすく、反対側は200メートル先でも何年も歩かないまま残りがちです。その理由は駅の反対側という空白に書きました。
3週目:出発点を変える。 3週目は、どんなチャレンジでもやる気が落ちやすい時期です。だからこの週は、出発点そのものを変えます。電車やバスで一駅か二駅先まで行って、違う道で帰ってくる。「一駅歩く」の本当の使い道で書いた考え方が、そのまま使えます。出発点が変わると、その周りは全部が新しい道になります。
4週目:穴を埋める。 最後の週は、生活圏の内側に目を向けます。毎日の道のすぐそばなのに残っている行き止まり、裏道、細い抜け道。3週間かけて外へ広げたあとに内側を見ると、空白の形がはっきり見えてきます。
30日目: 1日目と同じ道を、同じ長さで歩きます。道そのものは何も変わっていません。変わったのは、その道の周りに知っている道がどれだけ増えたかです。
1日目にやること:地図のスクリーンショット
始める前に、地図のスクリーンショットを1枚撮っておいてください。それが「ビフォー」になります。アプリを使わないなら、印刷した地図や紙の地図に、歩いた道を蛍光ペンでなぞっていく方法でも同じことができます。
Fogbreakerの地図は、これまでに霧を晴らした範囲の合計を表示します。日ごとの表示はありません。だから30日で何が増えたかを見るには、1日目のスクリーンショットが必要です。見比べるだけでなく数字でも見たくなったら、自分の街を何パーセント歩いたかで、その数字の意味を説明しています。
1日休んだときは
1日休んでも、チャレンジは1日目に戻りません。次の日は、次の日数として続けます。このルールは、1日目より前に決めておいてください。休んだその晩に決めようとすると、「もういいか」がいちばんもっともらしく聞こえるからです。
ラリーらの研究でも、1日休むこと自体は習慣づくりにほとんど影響しませんでした。影響が出たのは、何度も続けて休んだときです。本当の警報は2日連続です。そうなったら翌日は最低10分歩く。議論はしません。
雨の日の散歩も、ちゃんと1日に数えます。人の少ない雨の日は、むしろ新しい道を歩くのに向いています。
友だちとやるなら
歩数ではなく、新しい道の数で競ってください。1日に1万5,000歩歩く人がひとりいると、歩数のレースは2日目で勝負がつきます。でも新しい道を1本見つけることは、誰にでもできます。体力の差で勝ち負けが決まらなくなります。
30日目には、全員で地図を見せ合います。ほかの形式は歩数チャレンジのアイデア12選に、アプリの選び方と、端末によって歩数がずれる問題は歩数チャレンジアプリの比較にまとめています。
Fogbreakerで続ける場合
ここからは私たちのアプリの話なので、そう断っておきます。
Fogbreakerの地図は霧に覆われた状態から始まり、屋外を歩いた場所がGPSで晴れていきます。まだ歩いていない道は霧の下に残っているので、その日どこへ行けば「新しい道」になるのかが一目で分かります。一度晴らした霧は戻りません。地図は広がる一方です。仕組みは現実世界の戦場の霧で説明しています。
アプリの「あなたのエリア」では、自分の地区や街をどれくらい歩いたかが割合で表示されます。これは無料です。
連続記録は、歩数の目標に届いた日を1日として数えます。Apple HealthやHealth Connectの歩数も入るので、屋内で歩いた分も含まれます。友だちの連続記録も見えます。
連続記録フリーズはProの機能です。Proでは毎月2回分がもらえ、歩数の目標に届かないまま1日が終わると自動で使われます。途切れてしまった連続記録も、Proなら48時間以内に取り戻せます。Proがなければ、目標に届かなかった時点で連続記録は途切れます。月2回というのは、30日チャレンジにはちょうどいい数です。ひと月のうち、どうにもならない日はだいたいそのくらいあります。
友だちとはランキングと歩数チャレンジで競えて、招待はリンクを送るだけです。
限界も書いておきます。霧が晴れるのは、屋外でGPSが使えるときだけです。トレッドミルや屋内で歩いた日は、歩数の連続記録は守れても、地図の道は1本も増えません。そして地図が表示するのは合計で、日ごとの記録ではありません。1日目のスクリーンショットを勧めているのはそのためです。
今から始めるなら
10月の今日から始めれば、30日目は11月の半ばです。日がどんどん短くなっていく時期なので、夕方に歩くなら暗くなってから歩くを先に読んでおくと安心です。新年の目標にするなら、1月1日に始めて30日目は1月30日。寒さが本番になる時期なので、冬に歩くが役に立ちます。
30日後、1日に歩く量はたぶん初日とほとんど変わっていません。変わっているのは地図のほうです。
